うたた寝ラウンジ

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読書 「神々の山嶺」

とても有名で、とても評価の高い山岳小説。登山を初めてから本書を知り、いつか読んでみたいと思っていた。

 

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(写真 : Luca Galuzzi / CC 表示-継承 2.5 / Wikipediaより)

 

この本を手に取ったのは、映画化のニュースを見たから。ここ数年、大規模な雪崩など事故が多いエベレスト。くれぐれも気をつけて撮影をして頂きたいです。

 

本書はエベレスト登山に関する事実を基にしたフィクションなのだが、推理小説の要素も含まれており、登山好き、推理小説好きの自分としては、とても興味をそそられる謎から物語がはじまる。

 

それは「エベレスト登山に失敗したカメラマンが麓の町で見つけたあるものを追い、”本当の”エベレスト登山史に迫る」というもの。

 

初めは謎を追っていたはずのカメラマンが一人の登山家に魅せられ、いつしかその登山家を追うことになるため、推理の要素よりも登山家としての生き方に強く焦点が当てられている。

 

最終的には”本当の”エベレスト登山史の謎も描かれると思っていたのだが、そこは結局謎のまま。「この謎に迫るくだりがあればもっと面白いのに」と思ってしまったのは、小説好きゆえの意見なのだろう。

 

しかし、その謎自体はノンフィクションであり、今でもエベレストのどこかに埋もれているであろうこと、また、いつかはその謎が解かれるかもしれないことを考えるととても楽しみである。

 

登山者の過激な生き方・考え方についていけなくなったり、馴染みの無い山道具の描写が分からなくなることもあると思うけれど、極限の状態で山の頂を目指す登山家の人間臭さが表現されていると思う。

 

上下二巻の長編作品だが、描写と迫力に引き込まれて一気に読めてしまった。  

 

 

本書を原作とした漫画も描かれている。こちらもいつか読んでみたい。

 

そして、本書を原作とした映画もとても楽しみ。映像化されたエベレストの景色を映画館の大画面で観れるというだけでも、一見の価値があると思う。